Alumni Interview 生命環境学科生命科学コース卒業生インタビュー記事
井上 賢彦さん
三重県名張市役所
三重県名張市役所(現 名張青峰高等学校)出身
2011年生命環境学部生命科学科卒業
(福永研)
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今はどういうお仕事をされてますか?
修士課程を終えた後、出身地の市役所に入庁しました。入庁後は、農林業を所管する部署に配属になり、主に獣害対策を担当していました。農作物を荒らす動物への対策を農業者の方に助言したり、実際にシカやイノシシ等の捕獲もしました。その後、2年間厚生労働省老健局に出向し、国での意思決定の場に携わっていました。現在は市役所に戻り、生活保護のケースワーカーとして被保護者の自立を支援しています。
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庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされましたか?
もともと遺伝子に興味があったので、アワのフェノール反応の差異に関連する変異についての課題を与えてもらい、PCRや電気泳動を毎日のようにやっていました。原因となっている変異を見つけた際には、うれしかったことを覚えています。
また、岡山大学での共同研究や育種学会への参加の機会を与えていただき、他の研究者の方の考え方にも触れることができました。 -
庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせてますか?
私の専攻内容が直接仕事に活かされたことは、市議会で遺伝子組み換え作物についての質問があった際の1度だけです。しかし、自分の行った研究内容をまとめて、内容を知らない人に対して発表した経験や科学論文を読んだり書いたりしたことによる論理的思考・文章展開は、社会人になってからも十分活かされていると感じます。
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他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?離れても広島への思いは?
私の出身地も都会とはいいがたいところですが、庄原はそれ以上の田舎であることに愕然としたのを覚えています。出身地への愛着から、地元に戻ることを選択しましたが、「広島に住むのもいいな」と考えたこともありました。もともと野球観戦が趣味でしたが、広島に住んだことにより、カープを応援するようになりました。広島を離れてからもビジター応援はもちろん毎年マツダスタジアムに観戦に行っています。阪神ファンが多い職場でしが、私のデスクがカープグッズであふれているので、職場ではちょっと有名です(笑)また、春夏の甲子園も広島県代表にはついつい注目してしまいます。
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最後に何かひとこと
庄原は遊ぶ場所が少ないところですが、やりたいことを集中してするにはピッタリの環境だと思います。勉強や研究活動をするもよし、バイトをするもよし、部活をするもよし、楽しみ方は自分次第です。大学生の期間をどう過ごしたかで、その後の社会人としての生活にもつながってくると思います。存分に楽しんでください!!
以下は今回の井上さんとも一緒に研究して国内外の学術誌に掲載されたものです。
Takahiko Inoue, Takahisa Yuo, Takeshi Ohta, Eriko Hitomi, Katsuyuki Ichitani, Makoto Kawase, Shin Taketa, Kenji Fukunaga (2015) Multiple origins of the phenol reaction negative phenotype in foxtail millet, Setaria italica (L.) P. Beauv., were caused by independent loss-of-function mutations of the polyphenol oxidase (Si7PPO) gene during domestication. Molecular Genetics and Genomics 290(4) 1563-1574
Hisato Masumoto, Hiroki Takagi, Yohei Mukainari, Ryohei Terauchi, Kenji Fukunaga (2016) Genetic analysis of NEKODE1 gene involved in panicle branching of foxtail millet, Setaria italica (L.) P. Beauv., and mapping by using QTL-seq. Molecular Breeding 36(5) 1-8
Shohei Suehiro, Katsuyuki Ichitani, Eiji Domon, Kenji Fukunaga (2018)Genotyping of the SiDREB2 gene in worldwide foxtail millet (Setaria italica (L.) P. Beauv.) genetic resources with special attention to Indian landraces. Genetic Resources and Crop Evolution 65 1559-1564
Fukunaga, Kenji, M. Z. Nur, Takahiko Inoue, Shin Taketa, Katsuyuki Ichitani (2020) Phylogenetic analysis of the Si7PPO gene in foxtail millet, Setaria italica, provides further evidence for multiple origins of negative phenol color reaction phenotype. Genes and Genetic Systems 95(4) 191-199
生命科学コースからのコメント
福永研では卒論・修論などで行った研究のいくつかは成果として国際誌などに論文としてまとめられています。理系の研究は、まさにアクティブラーニングそのものであり、プロジェクトベースラーニング(PBL)であります。また、広島県内で植物育種学の研究室があるのは、県立広島大学生物資源科学部生命環境学科生命科学コースだけです。